長いようで短い冬休みが終わって。
久しぶりの早起きで眠い目を、ぱちぱちさせながら、家を出た。
「おねえちゃん、待ってよ」
「待たない」
海人が後ろからついてくる。
「一人で行けるんだから、無理して私についてこなくてもいいじゃない」
「だって、せっかくおねえちゃんと一緒に行けるのに」
学校と幼稚園の方向が同じだったから、途中までは海人と行くことになって。
「私、別に海人と一緒に行かなくてもいいし」
冷たくそう言っても、にこにこ顔でついてくる。
そしてほんとは私も、こうやって好かれるのは嫌じゃなくて。
「ほら、早くしないと、先に行っちゃうよー」
「歩くの速すぎるよ、おねえちゃん」
なんとなく思い出すのは、あの日見た夢。
夢の中で見たのと同じ、幸せ。
欲しかったものが、今、ここにあるって、そう思って。
ただひとつだけ違うのは、海人がいること。
「ねえ、海人」
「なに?」
「……何でもない」
ありがとう、って言葉を胸にしまって、私は少しゆっくりと、歩いた。